「華やかすぎない華やかさ」が魅力的の、上品でフローラルなコーヒーです。エチオピア南西部のグジ・ウラガ地域、2,000m以上もの標高で育った立派なチェリーたちは甘みたっぷりでジューシーです。
Nif Coffeeの「ふつう」「ふかいり」は味わいのコンセプトのもと、随時オリジンを変更してお届けしております。 内容は旬のスペシャルティコーヒーから厳選していますので、シングルオリジンのコーヒーとしてもお楽しみいただけます。
目次
1. 商品について
1-1. 詳細情報
地域:オロミア州グジゾーン・ウラガウォレダ
標高:1,950~2,250m
精製:ウォッシュト
品種:ウリショ、デガ(ともに在来系の品種)
エチオピア、特に南西部のイルガチェフェやグジの地域での高品質コーヒー生産は、小規模な生産者さんがその地区にある精製所(ステーション)に、その日摘んだコーヒーチェリーを持ち込んで対価を得る形が主流です。 ですので、この商品もグジのウラガという地区のラロ・ボダ集落にある精製所(ステーション)の名前がそのまま商品名となっています。
2000mをも超える標高のこの地域の気温は低く、寒暖差が甘みを生み出してくれます。プリップリに実ったチェリー、この写真だけでも甘さが伝わってきますね。
パーチメント(コーヒーの実の種の部分)を取り出す精選処理を行った後は、10~14日ほどかけて写真のような乾燥棚(アフリカンベッド)で乾燥させます。
1-2. 味わい
2月に「ふつう」で販売しましたが、今回は「ふかいり」で異なる表情を見せてくれました。
ほんのり華やかな完熟フルーツ系の甘みはそのままに、もともと備えているコクは深い焙煎にすることで、より感じるようになります。
バランスの良さはもちろん、上品な優しい華やかさが特徴で、「華やかすぎない華やかさ」が魅力的なコーヒーです。
暑い時期はアイスコーヒーにするもよし。クリアな苦味による清涼感を味わえる美味しいアイスコーヒーが出来ますよ。
1-3. 覚えにくすぎる行政区分
多民族国家のエチオピアは連邦制を採用しており、州と自治区から構成されています。ですので一番大きい行政区分は州or自治区。そこから、ゾーン > ウォレダ > ケベレ、という順に細かくなっていきます。
今回の商品に当てはめると、オロミア州>グジゾーン>ウラガウォレダ>ラロボダケベレ、となります。
nifcofffeeで例えると、神奈川県>川崎市(ゾーン)>多摩区(ウォレダ)>三田(ケベレ)、といった具合です。 私の出身地に例えると、新潟県>下越地域(ゾーン)>新発田市(ウォレダ)>西園町(ケベレ)、といった具合でしょうか。日本に準えるとしっくりきますね。後は単語として覚えてください。
2. エチオピアのコーヒーについて
2-1. 世界屈指の高品質コーヒー生産国
エチオピアでの、品質の高いとされるアラビカ種の生産量は、世界で3番目です(7,620×1000袋、1袋=60kg)。
世界の生産量からすると8.5%といった数字ですが、1位のブラジルが約40%、2位コロンビアが約15%をも占めていて、上位2国で世界の半分以上を占めてることを考えると、8.5%という数字はとても高い数字です。※1
2-2. コーヒー発祥の国
諸説ありますが、9世紀のエチオピアを舞台にした伝説が一番知られています。
カルディ君という少年が、飼っていたヤギが夜になっても興奮して寝ないことを不思議に思い観察していた所、赤い木の実を食べていたことに気づきました。
試しにカルディ少年もその赤い実を食べたら力が湧いてきた。さらに、その事を知った僧侶がその木の実を火に投げ入れたら芳しい香りがしてきた。それを湯に溶かして飲むと、夜通しの儀式も睡魔に負けることなく続けられるようになった。それから薬用で飲まれるようになり、その後ヨーロッパに伝播して嗜好品として広まった、という内容です。
コーヒーを飲むとカフェインで眼が冴えて頑張れる、という現代にも通じるところがありますね。24時間戦えますか?的な。笑
2-3. モカ?
「モカ」というコーヒーのブランドを聞いたことがあると思います。昔から「キリマンジャロ」「ブルーマウンテン」に並ぶお馴染みのブランドですね。
全日本コーヒー協会(https://coffee.ajca.or.jp/)が定期的に行っている「コーヒーの需要動向に関する基本調査(2016年)」で「好きなコーヒーの種類」というアンケートの結果を見ると、なんと約43%もの人が「モカ」と回答していて堂々の1位です。(2位はブルーマウンテンで約40%、3位はキリマンジャロで約35%。複数回答の結果です)
では「モカ」って一体何なんでしょう?
モカとは、その昔イエメンに存在した港の名称で(100年以上も前に港は閉鎖してます)、その港からエチオピア産のコーヒーも出荷されていたことに起源があります。
そして、モカ港ではイエメン産とエチオピア産のコーヒーが「モカ」の名前で出荷されていました。
ん?イエメンとエチオピア?全然違う国なのに同じコーヒーとして扱われていたんですね。
なお、収穫エリアを絞ってイエメン産を「モカ・マタリ」エチオピアのハラー地区産を「モカ・ハラー」などと言って差別化はされていますが、トレサビリティが曖昧なことに変わりはありません。
ただし「モカ」や「キリマンジャロ」といったブランドは、抜群の知名度があるので悪い事ではないと思います。
むしろ、そのブランドを上手に使って、トレサビリティのある高品質な美味しいロットを仕立てられなら、商品としてのパワーはすごい大きいと思いませんか?
3. エチオピアの事
3-1. 国の概要
首都:アジス・アベバ
国土※2:109.7万平方キロメートル(日本の約3倍)
人口※2:約1億1,207万人
公用語:多民族国家であるので、憲法ではすべての言語が平等であるとして公用語を定めてません。事実上アムハラ語、アファル語、オロモ語、ソマリ語、ティグリニャ語が公用語になっているようです。
1人あたり名目GDP※3:994米ドル(2020年)。世界では170位です。お世辞にも決して裕福とはいえません。
3-2. エチオピア料理
エチオピア料理って何が思いつきますか?
思いつかない、と言う方がわりと多いと思います。
多くの民族が存在し宗教も様々な国なので、地域や経典によって異なってはきますが、代表的なところを紹介します。
[インジェラ]
もっともポピュラーなエチオピア料理のひとつ。イネ科のテフという植物の粉を水で溶いて発酵させて焼く、パンのような料理です。ワット(副菜)と一緒に食べます。
中米で言うトルティーヤ的な食べ物ですね。ただし発酵させるので匂いも味も結構酸っぱいそうで、苦手な人は少なくないらしいです。なお、このインジェラは、冷めてから提供されます。アフリカ料理の中で冷めた状態の料理を提供する事は珍しいようです。
[ワット]
アムハラ語で「総菜」の意味のワット。ドライカレーのような食べ物で、肉や豆などを煮込んだりと色々なワットがあります。
インジェラと一緒に食べられることが多いですが、日本のエチオピア料理店では、カレーライスのような食べ方もします。
辛くないワットもあるそうですが、ほとんどが辛く、中には激辛のワットもあるそうです。
写真は左半分が鶏、右半分が豆のワットです。
[ヤギ]
ヤギを屠り、生の肉を振舞うのが最高のおもてなしとされているようで、エチオピアに行った先輩もこのおもてなしを受けていました。
3-3. 大建設ラッシュ!
海外から(主に中国)の援助もあり、空前の建設ラッシュに沸いているエチオピア。
想像を絶する規模の計画が現在進行しています。
[グランド・エチオピアン・ルネッサンスダム]
青ナイル川のスーダン国境近くに建設する一大国家プロジェクト。
その名前からでも図り切れない規模を感じます。
かの有名な黒部ダムの18倍もの発電能力を有し、貯水量で言えば370倍!
2020年7月に貯水が始まっており、2022年に発電を開始したいエチオピアと、貴重な水資源を死守したいエジプト・スーダンのナイル川下流の2国と、もめにもめています。
2022年2月に発電を開始したらしいです。
[鉄道]
2010年、エチオピア政府は首都のアディス・アベバとジブチ港を拠点とする8つのルート、約5,000kmの鉄道整備を計画しました。
5,000kmですよ。日本の領土でも東西3100kmくらいですからそのスケールの破格っぷりには驚きです。
その中でもエチオピアの貿易の95%以上ががジブチ港に頼っていることからも、まずは経済の生命線であるアディスアベバ-ジブチ間(約750km)の更新整備工事を完工させました。そして2018年から営業運転が開始されています。
しかしながら運賃や輸送費が高すぎて利用者が少ない事がネックなのだとか。。
[道路]
これも輸出入を円滑にしたい内陸国のジレンマでしょう。首都アディス・アベバを拠点として近隣諸国の港と結ぶ高速道路網の整備計画が進行中。
鉄道と並行する、アディスアベバ-ジブチ間の高速道路は一部完工しており、エチオピアを訪問するインポーター(生豆を買付する方々)も、エチオピアへ行くたびに道路が良くなっていくことを実感しているそうです。
4. ちょいネタ
4-1. コーヒーでおもてなし
エチオピアには、日本の茶道のようにコーヒーを飲む「コーヒーセレモニー」という文化があります。
お客さんをもてなす儀式ともされており、嫁入り前の女性が母親から作法と共に道具一式を受け継ぐそうです。とても素敵な習わしですね。
乳香というお香を焚いて、コーヒーを焙煎して、コーヒーを淹れて、、2-3時間要するらしいです。
乳香
4-2. 地球上でもっとも塩辛い湖
「湖面に浮かんで本が読める」湖として知られる中東・死海の塩分濃度が30%程度でもっとも塩辛いと思っていました。
しかししかし、エチオピア北東部のダロル火山の麓にある「エルタ・アレ湖」は塩分濃度43.3%もある地球上でもっとも塩辛い湖なのだそうです。
火山にも近く、水面から有毒ガスが発生している為、水辺には鳥や昆虫の死骸が散見され、"殺人湖"とも呼ばれているそうです。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました!!
※1:米国農務省より
※2:外務省より
※3:世界銀行より